飯南町の来島交流センター(飯南町野萱)で^8月28日、きじま里山講座「飯南町ツキノワグマの生態と対策」が開かれ、小学生から高齢者まで30人余りが参加した。主催は来島公民館。
共催した飯南町産業振興課によると、島根県内のクマの目撃は2024年度が1561件、2025年度が891件となっている。現状島根県ではクマは保護対象となっており捕獲はできないが、おりに間違って入って捕獲されたクマは2024年度が11頭、昨年度が5頭、本年度がこれまでのところ5頭となっているという。農作物への被害はイノシシが圧倒的に多いが、クマは人身被害の可能性があり対策が必要という。
当日は、島根県中山間地域研究センター鳥獣対策課の澤田誠吾課長が講師を務めた。世界のクマの種類から説明を始め、国が行った1972(昭和47)年、2003(平成15)年、2018(平成30)年の3回の大規模調査の結果を紹介。東日本ではクマの餌を供給するブナ林の分布が連鎖的に広がっているのに対して、西日本では転々と分散していることから、クマの分布も中国地方や近畿地方では過去には孤立分布していたが、2018年の調査では中国地方の分布が拡大傾向にあると説明した。
クマが何を食べているか、どのような時間帯に行動しているか、季節ごとのクマの行動や繁殖周期、冬眠の穴を使う時期、詳しい生態を説明。スライドをはじめ、動画も使い分かりやすく伝えた。視力がよくなく色は判別できないこと、聴力や臭覚はとても発達していることなど、身体能力についても説明した。クマと出会わないように対策する上で、これらのクマの能力を知っておくことが重要という。
クマが大きな体を維持するために食べることがとても重要で、餌のない冬に向けて秋にどれだけ脂肪が蓄えられるかが、繁殖に影響することも説明。クマが食べ物にとても執着が強いことに注意を促した。クマの痕跡についても、写真を使いながら説明した。「登山や森での作業など、自分が活動する周辺にクマの痕跡があるかどうか確認してほしい」と続けた。
最後に、対策についても言及。出会わないようにすることが最も重要と訴え、適切なクマ鈴やホイッスルの使い方などを解説。もし出くわした場合、どう行動をするか、クマスプレーはいつ使うかなど、実演を通して具体的な説明で注意を促した。侵入対策としては「電気柵のみが有効」と、動画も使って話し、適切な電気柵の張り方も教えた。
住民もクマのリスクを切実に感じていることから、会場からは次々と質問が出され、澤田さんが自身の経験を踏まえながら詳しく対策などについて答えていった。