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奥出雲で「田舎の贅沢」講演会 優れた自然と豊かな自然の違いを学ぶ

講師を務めた「森林を守ろう! 山陰ネットワーク会議」アドバイザーの佐藤仁志さん

講師を務めた「森林を守ろう! 山陰ネットワーク会議」アドバイザーの佐藤仁志さん

 奥出雲の泊まれる博物館「奥出雲多根自然博物館」(奥出雲町佐白)で6月12日、講演会「田舎の贅沢(ぜいたく)について考えよう」が開かれた。主催はNPO法人「さくらおろち」。

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 同NPOは、尾原ダム(雲南市木次町平田)を生かした周辺地域の自立的・継続的な地域づくりを一体的に推進するとともに、周辺地域の住民組織、地域団体、企業、行政機関などの関連組織の相互理解を深めるために創設された。周辺の自然環境や伝統文化、施設といった地域資源を生かしさまざまなイベントや地域活動に取り組んでいる。

 講師を務めたのは、「森林を守ろう! 山陰ネットワーク会議」アドバイザーの佐藤仁志さん。佐藤さんは長年、島根県庁で自然保護行政に従事。三瓶自然館や埋没林、隠岐自然回帰の森の整備などに深く関わってきた。そのほか、自然観察会などを中心に自然保護教育に取り組み、ニホンアシカやシンジコハゼの研究にも関わってきた。

 当日は、同NPOスタッフのほか、佐藤さんの話を聞きたいと集まった地域の人たちなど30人余りが参加。佐藤さんは、都会の大学から就職で出雲に戻ることを決断した時に、「ざまあ見ろ」の志向で、都会ではできないことをやってやろうと決意したところから話を始めた。20代は登り窯を自分で造って焼物を作ったり、山菜・薬草、自然探求など自然豊かな島根でないとできないことをしてきたりしたという。

 島根は森林が80%近く、長い海岸線で山と海が近い大きな湖が2つあるほか、離島もあり、島根は自然が豊富にあると話しながら、「環境省が植生自然度を調べたところ、島根は東京より植生自然度が低いことにがくぜんとした」とも話す。島根をはじめとする中国地方は昔からたたら製鉄が盛んで、たたら製鉄では膨大な量の木炭を使うことから広大な森林が23年周期で切り開かれ、二次林として活用されてきた歴史があることから、「優れた自然」=植生自然度が高い森は少ないが、「豊かな自然」=身近にあり活用可能な森は多いことを説明した。

 佐藤さんは「山陰ではキノコ文化が東北や信州に比べると劣っているのは、そもそも食べるものが豊富にあったため」と話し、出雲平野の散居住宅と築地松、かやぶきの屋根が反り返っている出雲風民家の特殊性、日本で神戸川でのみ見られるアユの四手網漁など、山陰固有の文化も紹介した。

 特産のシジミが生きるために宍道湖が海水の10分の1の濃度の汽水湖であること、その汽水湖で生きるシンジコハゼが、ロシアの沿海州や韓国の東海岸など環日本海の汽水湖で発見されていることから、大昔、日本海が大きな汽水湖だったことなどを説明。ハゼの研究で知られる前天皇(現上皇)陛下とシンジコハゼの話をしたことなども披露した。

 佐藤さんは、斐伊川河口で見られるマガンの群れや、ニホンアシカの痕跡、神話に登場するワニの正体がニホンアシカであること、神戸川水系の佐田で発見されたイズモコバイモなどのことなど、島根の自然の貴重さにも触れて講演を締めくくった。会場からは大きな拍手が送られた。

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