下熊谷交流センター(雲南市木次町下熊谷)で12月5日、手話体験教室が開かれた。主催は雲南広域福祉会地域活動支援センター「パレット」。
同施設を運営する社会福祉法人「雲南広域福祉会」は、就労支援事業所や生活介護援助事業所、共同生活援助事業所、児童発達支援事業所などを運営。地域活動支援センター「パレット」は障害のある方に軽作業・創作活動の機会の提供や、仲間づくり、交流活動を支援している。
毎年この時期に開催している手話体験教室は雲南エリアの2地域で開催しており、今年は11月に飯南町来島交流センターで開き、この日は雲南市で開催した。市内や松江から15人が参加。参加者は「近所に暮らすろう者の人たちとの対話に関心があり参加した」「以前から関心があったが機会がなく、今回友人にも誘われたので参加した」「テレビで佳子さまが手話で話されているところを見て関心を持った」などと話す。
体験教室では最初の1時間、手話講師の竹下浩二さんが、5歳で入った松江ろう学校での勉強や寄宿舎での生活の様子などを手話で紹介し、手話通訳の三澤砂由美さんが通訳した。1993(平成5)年までは授業で手話を使うことが禁止され、口の形を読む口話をさまざまな工夫で習得させられていたことや、先生から見えないところでは生徒同士で手話で会話をしていたことなど、手話が使えず苦労したことを伝えた。ろう者に人に情報を伝えるには手話以外にもいろいろな方法があること、身ぶり手ぶりと違って、手話は文法がある一つの独立した言語で、日本語とは別であることなども伝えた。
後半は、実際に参加者の手話を教え実践をしてもらう体験を行った。「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」などの日常のあいさつは、じゃんけんのグーチョキパーと覚えるといいことや、丁寧語にするときに併せてするしぐさなどを教えた。初対面での会話に使うフレーズや、参加者の名前の表現、住所の表現や、困っている人を見たときにかける言葉など、実際にろう者の人と出会った時に役に立つ手話を教えた。これらの手話を使って参加者同士で会話をしてみながら、講師の竹下さんが個別に指導し、最後には全員の前で2人ずつ初対面の会話を披露してもらった。
竹下さんは「聞こえないからかわいそうではなく、聞こえない人は情報が足りないだけ。情報を与えてあげれば自分でしっかり判断できる。多くの人が手話を覚えて使えるようになればいい」と話す。