山王寺の棚田展望台(雲南市大東町山王寺)で11月23日、棚田でとれた米の収穫を祝う山王寺棚田祭りが行われた。
1999(平成11)年「日本の棚田百選」に認定された山王寺の棚田は、雲南市大東町の北東部標高300メートルの山腹に位置し、面積19ヘクタール、棚田数約200枚を有する。2006(平成18)年、棚田の保全管理を行いながら、かけがえのない農村の原風景を維持していくことを目的に「山王寺本郷棚田実行委員会(現、山王寺本郷棚田振興協議会)」が設立され、棚田景観の保全と併せて棚田米のブランド化や棚田オーナー制度導入などによる農業経営の安定を目指して活動してきた。
同委員会が発足当初から行ってきたのが「田んぼの学校」。自然の中で土と水に触れ、農村環境に対する豊かな感性と見識を持つ人を育て、棚田の持つ役割や棚田を守る活動へと広がることを目的に、田植え、稲刈り、収穫祭と年3回行ってきた。2013(平成25)年には、農作業に参加できない人向けにトラスト制度をスタート。1口1万円で会員募集し、11月ごろに返礼品として棚田舞5キロと地区の取れたての農産物を詰め合わせて発送している。
同振興会の高木健次さんは「コロナ禍で収穫祭をやめた。毎年やらないと行事の維持継続が難しい。今年5年ぶりに収穫祭が復活できて良かった。この20年間の活動によって都会の多くの人たちと交流するようになった。トラスト会員も今では53人になり、今日も会員さんが多く足を運んでくれている」と話す。
当日は会場で地元の棚田舞や農産物の直売や、棚田舞を釜炊きしたご飯、しじみ汁、マコモと地元産のイノシシ肉の煮物などの飲食を提供した。棚田の休耕田で作っているコットンを使った商品や、休耕田で栽培を始めたマコモを使ったしめ縄やお茶、山王寺の野山でとれた薬草茶なども販売した。
開催のあいさつの後、東京から来たグループが収穫感謝の歌と踊りを披露し、棚田舞のすくいどりや餅まき、コットンの収穫体験を行った。