
斐伊川の源流がある船通山の麓の古民家「秋鹿屋」(奥出雲町竹崎)で10月15日、和ハーブ協会代表理事の古谷暢基さんを招いて「和ハーブの会」が開かれた。主催は追谷活性化協議会「ぼくらの学校」事務局を務める任意団体「楽笑本舗」代表の山本博美さん。
米子に住む山本さんが鳥取大学と規格外野菜の流通に取り組んでいた7年前、フェイスブックでつながっていた友人に誘われて訪れたのがこの追谷地区だった。過去には卜蔵(ぼくら)家のたたら操業で栄えた地であり、棚田や自然が残る場所で、空き家となっていた「秋鹿屋」を紹介された山本さんは「ここなら価値ある活動ができると思った」と振り返る。
2019年から田んぼ体験に、米子や松江、広島、東京などから来てもらい活動を開始。地元の追谷活性化協議会のメンバーと連携して、卜藏家にちなみ「ぼくらの学校」と名付けて活動を続けてきた。
卜藏家の「ふいご職人」で松江市秋鹿町から移住してきた人の家だったという「秋鹿屋」を、DIYの好きな友人の助けで少しずつ片付けて整備してきた。奥出雲町の地域おこし協力隊員で同地区の支援員として4月に移住してきた西芳江さんが、和ハーブの資格を持つ友人を山本さんとつなぎ今回のイベントにつながった。
当日は、出雲、松江、米子から5人が集まり、山本さんと西さんを加えた7人が、古谷さんから和ハーブについて学んだ。講師の古谷さんが「和ハーブは江戸時代以前から日本にある植物で、古くから日本人が生活で使ってきた植物のことをいう」と紹介。自己紹介の後、早速周辺の道を歩きながら古谷さんが次々と見つける和ハーブについて、名前や使い方などを解説し、参加者が熱心に聞きながら採取した。歩きながら古谷さんは「この周辺は在来の和ハーブが豊富で素晴らしい」と話す。
古民家に戻った参加者に山本さんが「追谷たたら絵巻」を上映し地域の歴史を伝えた。日没が近づくと追谷棚田展望所へ行き、たたら製鉄の材料となる砂鉄を採取するために切り崩されてできた棚田に明かりがともされた幻想的な風景を楽しんだ。古民家に戻ると古谷さんが和ハーブを使った調理を披露。参加者全員で夕食を楽しんだ。