木次経済文化会館チェリヴァホール(雲南市木次町里方)で12月14日、「木次線祭り」が開かれた。
ロビーではおもちゃの列車展示、鉄道模型(Nゲージ)展示、鉄道グッズ販売、鉄道写真集販売、缶バッジ制作、子ども制服体験に加えて、出雲坂根スイッチバックを再現したジオラマの運転会も行い、多くの親子連れでにぎわった。2階ホールでは、しまね映画祭の一環として「銀河鉄道999」を上映した。
午後には、今年12月12日で木次線が全線開通88周年を迎えたことを記念して作られた木次線応援コミックス「さかねとつむぎとキスキ線」を語るシンポジウムが開かれ、100人以上が参加した。
同コミックスを企画した漫画編集者の江上英樹さんが「漫画でつなぐ地域の未来、木次線応援コミックスが生まれるまで」と題して基調講演を行った。鉄道好きの江上さんが木次線を応援し始めた頃、沿線にアパートを借りて2年かけて出雲坂根のスイッチバックの鉄道模型ジオラマを制作したことや、同コミックを企画する際に、まず鉄道好きな漫画家を選んだこと、制作資金をクラウドファンディングで募ったところ目標を超える577万円が集まったこと、クラウドファンディングの返礼にはコミック中での登場もあり、せりふありが2人、せりふなしが5人いたことなどを紹介した。
江上さんはコミックによる聖地巡礼ブームとなった地域の事例を紹介。「沿線に有り余るほどの魅力がある木次線での聖地巡礼のブームが起こせるように、たくさんの人に同コミックを読んでもらい地元で盛り上げてほしい」と話す。江上さんは完成したばかりの同コミック500冊を木次線利活用促進協議会に寄贈した。
続いて行われたパネルディスカッションには、江上さんに加えて、同コミックを描いた漫画家のたこぱいそんさん、島根大学鉄道研究会の石井乙一さんが登壇。同大法文学部の飯野公央教授がファシリテーターを務めた。石井さんは「知っている景色がコミックに出てくるところが新鮮だった」と、飯野教授は「宮沢賢二の銀河鉄道のモチーフとシンクロしているように感じた」と、それぞれ話した。ディスカッションでの話題は、主人公が女子2人になったこと、タイトルのキスキ線がカタカナになったことなど、同コミック作成の裏話に及んだ。