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雲南・三刀屋の老舗和菓子店「船津屋」が閉店へ 地域に愛され続け90年

店頭に立つ店主の白築さん

店頭に立つ店主の白築さん

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 雲南市三刀屋町の中心商店街にある老舗和菓子店「船津屋」(雲南市三刀屋町三刀屋)が11月末で閉店する。

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 1935(昭和10)年に掛合町多根の船津地区から三刀屋の中心商店街に出てきた先代が和菓子店を始めた。出身地区の名前にちなんで「船津屋」と店名をつけた。

 現店主の白築泰順(やすのぶ)さんが松江のパン店で5年余り修業し、1年ほど出雲市内の店で勤務した後、三刀屋に帰ってきて店を継いだのが1960(昭和35)年だった。

 三刀屋の横町にあったパン店の老店主が菓子職人で、泰順さんに茶まんじゅうの作り方を教えてくれたという。泰順さんは「当時、沖縄産の黒糖を30キロの塊で仕入れ、水に溶いた後で煮詰め、ソーダを入れて皮を作ったところ、茶色のふんわりした皮となった。こしあんをその茶色の皮で包んで優しい味に仕上げた」と言う。すぐに店の看板商品になった。今まで50年以上、店の奥の調理場で手作りしてきた。

 泰順さんは 「茶まんじゅうも人気だが、まんじゅうは法事まんじゅうの需要も大きかった。法事まんじゅうは皮が白く、その皮の製法も違うが、かつては法事や葬式と言えば法事まんじゅうを配ったものだった」と懐かしむ。「今は風習が変わって、すっかりまんじゅうの需要が減った。商売の先行きが見通せない中、息子にも菓子屋を継ぐことを求めなかった」と言う。

 今年で88歳を迎える泰順さんは、体力の衰えには勝てず、閉店を決断した。

 営業時間は8時~18時。日曜定休。

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