雲南市木次町の中心商店街にある岩佐書店(木次町木次)の店内に11月12日、絵本専門の新しいスペース「本屋の中の本屋『遠足文庫~あの頃の絵本専門店~』」がプレ・オープンした。運営は、同市を拠点に地域プロジェクトを手がける遠足計画。
「遠足文庫」は、親世代が子どもの頃に読んで心に残った「思い出の絵本」を元に本棚を作る、全国的にも珍しい参加型の絵本専門店。来店者や地域の人から絵本のタイトルとエピソードを募集し、そのリクエストを元に本をそろえる仕組み。スタッフが投稿内容を手書きのPOPにして本に添えることで、店内には多くの「思い出の声」が並ぶ。
遠足計画代表の石原達也さんは「娘に自分が好きだった絵本を読んであげたいと思っても、本屋で見つからないことがある」と話す。「だからこそ、親になった僕たちが『次の世代に渡したい一冊』を置ける場所をつくりたかった」と、構想のきっかけを話す。
棚には、誰もが一度は手にしたことのある懐かしい絵本が並ぶ予定。「子どもがいない人も、昔読んだ本をもう一度手に取ってほしい」と石原さん。思い出を共有し合うことで、世代を超えた温かな交流が生まれる場を目指すという。
店舗は岩佐書店内に設け、今後は絵本にまつわる展示や読み聞かせイベントも企画していく予定。岩佐書店店主の岩佐由紀夫さんは「コロナ禍後、書店の経営はますます厳しくなっている。本屋をなくしたくないし、少しでも商店街の活性化につながれば」と話す。
営業時間は9時~19時。日曜定休。