雲南の旧博労(ばくろう)屋敷「坂根」(雲南市三刀屋町古城)で11月3日、「第3回夢牛祭り」が開かれた。主催は坂根生活文化育成委員会。
古来、スサノオと習合したといわれる牛頭天王。「牛」はスサノオに通じ、厄を払う神。農耕神としても信仰されている。かつては博労が農家に牛を貸し、農耕や運搬などの作業に牛の力を借りていた。牛は暮らしと地域にとって身近な存在だった。雲南は、スサノオのヤマタノオロチ伝説の地。「雲南 夢牛祭」は、この地ならではの生活文化を学び直し、サステナブルに発達する人の豊かな心と明日のより良い暮らしを作り、地域振興を目指す取り組みとして、2023年11月3日に第1回を行った。
第3回となる今年は「結び」をテーマに、より多くの地域の方々や地域の企業、学生、国内外のアーティストとつながって準備してきた。古城のある一宮自主連合会の星野幸雄会長は、あいさつで、「今、連合会では近所どうしのつながり強化に取り組んでいる。昔は1軒に1頭、牛を飼っていて、牛を使って近所付き合いを強化していたことを、この祭りを通して思い出させてくれる」と懐かしむ。
雲南市三刀屋文化体育館アスパル(三刀屋町古城)を17時に出発し、夢あかり牛歩道「灯籠行列」を行った。三刀屋太鼓のメンバーがホラ貝と太鼓を鳴らしながら、多くの人が未来の夢を描いた灯籠を持って同屋敷まで30分かけて練り歩いた。同屋敷では、米子高専建築デザインコース川中彰平研究室のメンバーがデザイン・製作した大灯籠や、木次中学校放課後クラブのメンバーや多くの人たちの作品「夢牛お面」、国内外のクリエーターの作品が出迎えた。夢牛お面の会場展示には、芝浦工業大学プロジェクトデザイン室のメンバーが協力した。
関係者のあいさつや屋敷内の作品の説明が終わると、前庭で井上嘉和さんの段ボール牛お面を付けた舞踏家東野祥子さんが三刀屋太鼓に合わせてインプロビゼーション演舞を披露し、集まった人たちから拍手が送られた。
フィナーレには集まった人たちの未来の夢がかなうように全員で餅まきを行った。